2017年1月28日土曜日

SUPER GT レクサス新旧マシン比較

東京オートサロンフォトのまとめパート3です。

レクサスはSUPER GTに2016年までRC FベースのGT500マシンを投入。2017年からはレギュレーション変更に合わせてマシンをLC500にスイッチしました。

2016年のチャンピオンマシン DENSO KOBELCO SARD RC F
2017年に投入するLC 500 
ちなみに2017年からの違いはコーナーリングスピードを落とすためにダウンフォースが削減されていることです。大まかにいうと、リアディフューザーのサイズ縮小とフロントリップ(もしくはチン)スポイラーの短縮です。 見比べるとリップスポイラーがLC500では短くなってるのが分かると思います。これによって約25%のダウンフォース削減になるとか、しかし各社とも昨年とのダウンフォース差を埋めるべく、しのぎを削って空力開発をしています。

フロントから
スポーツカーに限らず、最近の車はフロントサイドを切り立たせてサイドに流れる空気を整えようという考え方がトレンドになっています。RC FもですがLC500ではそれが顕著です。 
LC500ではフロントがなだらかになってます。下の写真の方が分かりやすい?
フロントカナード
LC500は面白い形をしています。
おそらく、カナードを大きくしたいけどリップスポイラーからはみ出てはいけないので、バンパーに凹みを作って対処してるんだと思います。このカナード、見かけ以上に大きな空気の渦を作りそうな気がします。

タイヤハウス前方には小さいディフューザーが付いてます。最近のGTカーはフロントのダウンフォースを稼ぐために必ずと言っていいほどこのパーツがついてます。ただ、ここにディフューザーがある以上、嫌でもタイヤハウス内に空気が入ってくるので、フロントカナードとフェンダー上部のルーバーから空気を引き抜いてさらにダウンフォースを稼ぎます。 RC Fの場合、ガイドフィンを付けて直接空気を出そうとしてます。
LC500でも同様の構造

タイヤハウス後方、LC500には変わったパーツがついてました。
流線形状で下へ流す空気を増やしてる?でも奥のくぼみは上に流そうとしてますし…それに周りのパーツからして後付け感があります。しかもこの質感からして金属?アルミ?なぜカーボンよりはるかに重たい物を? 謎です…。 まさか車の最低重量を調整するためだったり?w

サイドに行きます。上下で色が分かれてますが、ちょうど境界線の下が、空力開発を許される場所です。
レギュレーションでサイドにエアアウトレット(ラテラルダクト)を作ることが定められています。
マニアックな方はお気づきかと思いますが、この構造はルマンプロトと同じなんですね。
TS-050 HYBRID
フロントのフロア下はディフューザー形状でダウンフォースを発生し、ここから空気を逃がします。外見は全く違うけど中でやってることは一緒なんです。タイヤの事もありますが、GT500マシンがルマン・プロトカー並みのスピードとコーナーリング性能を持っているのはこのためなんですね。

参考までに各マシンのタイム差書いておきます
(富士スピードウェイ:公式コースレコード 2016年時点)
GT500:1’27.366 (2016 GT-R)
LMP1 : 1'22.639 (2015 WEC ポルシェ919ハイブリッド)
LMP2 : 1'31.225 (2015 WEC リジェ JS P2)

リアのタイヤハウス、何故かLC500には大きな空洞がありました。
タイヤハウス内の空気を抜きやすくするための工夫だと思いますが、カナードが無いのはドラッグを抑えることを優先した結果でしょうか?

リアフェンダー
フェンダーのこの壁はドラッグを低減させる為。車体後方に巻き込むような乱流を抑えながら車体から引きはがします。
この突起も空気をリアに巻き込まないように引きはがすための物。
RC Fにはトヨタお得意のエアロスタビライジングフィンことボルテックスジェネレーターが付いてます。

RC Fのリアエンドには良くわからないくぼみがあります。
裏から見ると
ディフューザーみたくベンチュリー効果でダウンフォースを発生させているのか、それともドラッグを減らすためなのか...上の画像を見ると分かりますが、RC Fはリアフェンダー下側の絞り込みが少しきつくなっています。この絞り込みに沿うようにこのくぼみがあるので、合わせた役割があるのかも。

リア
見比べるとディフューザーが半分ほどの大きさになってるのが分かります。逆にウイングはワイドになりました。恐らく富士のロードラッグ仕様と同じもの? ワイドにはなっていますが、ダウンフォース量は同じくらいか、むしろ少ない方かもしれません。ここからだと分かりづらいですが、16年仕様のウイングの方がR(カーブ)がかなり強くナローながら相当なダウンフォースを発生させてます。

両方ともウイングにガーニーフラップが付いてますが、その角度がえげつない
てっきり私の中では垂直に反り立ってるぐらいかなーと思ってたら前方向に反ってるという。他のGTカーも見てみると大体こんな感じでしたし、これが普通なんですね。

ちなみに、展示されていたこのLC500は38号車 ZENT CERUMOの車体の模様。オートサロン後に富士スピードウェイに持ち込まれてテストをしたようです。ということは空力はこれで変更なしかな? 

富士のテストでも16年型と遜色ないタイムが出ている模様、開幕まで煮詰める時間は十分あるので、昨年と変わりないスピードを見せてくれそうです。

パート2 パート4

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